偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
頬に大きな手が添えられる。
今度は、何が起こるのかわかっていた。
それでも逃げたいとは思わなくて、むしろ自分から少しだけ顔を上げると、慧さんの顔がゆっくり近づいてくる。
もう一度、唇が重なった。
さっきよりも少し長いキスだった。
つないだ手も、頬に触れる手も温かくて、そのすべてをもっと感じていたいと思う。
婚約者のふりをしているだけだったはずなのに。いつの間にか、終わってほしくないと思うようになっていた。
そして今、本当に終わるのだ。
偽物だった私たちの関係が……。