偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
家族のところへ、私が?
そう思ったけれど、すぐに慧さんの顔を見て考えを変えた。
もしかしたら、すごく不安なのかもしれない。
お父さまの状態がどれほど悪いのかもわからないし、いつも平然としているこの人が、今は私の手を離そうとしない。
だったら、理由なんてほかにいらなかった。
今度こそ、私がそばにいたい。
「はい。もちろん一緒に行きます」
私は握られた手を、自分から強く握り返した。
そう答えると、慧さんはほんの少しだけ安堵したように息を吐いた。