偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
病院は、都内にある大きな総合病院だった。
夜間入口から中へ入ると、昼間とは違って院内は薄暗く、静かな廊下には消毒液の匂いが漂っていた。
受付の明かりと、自動販売機の光だけが妙に明るく見えて、さっきまで華やかな船の上にいたことが嘘みたいに思える。
案内された待合スペースの前まで来たところで、慧さんが不意に足を止めた。私もつられて立ち止まり、その横顔を見上げる。
「私、ここで待っていますから」
家族だけで話したいこともあるだろうし、そもそも初対面の私が病室までついていくのもおかしいかもしれない。
そう思って伝えると、慧さんはすぐには頷かなかった。
「いや……違うんだ。会ってほしいと思ってる。でも――」
一度言葉を切り、私を見る。
「悠里を驚かせてしまうだろうっていうのもあって……」
「驚かせる?」
何で? めちゃくちゃ怖いとか?
首を傾げた、そのときだった。
夜間入口から中へ入ると、昼間とは違って院内は薄暗く、静かな廊下には消毒液の匂いが漂っていた。
受付の明かりと、自動販売機の光だけが妙に明るく見えて、さっきまで華やかな船の上にいたことが嘘みたいに思える。
案内された待合スペースの前まで来たところで、慧さんが不意に足を止めた。私もつられて立ち止まり、その横顔を見上げる。
「私、ここで待っていますから」
家族だけで話したいこともあるだろうし、そもそも初対面の私が病室までついていくのもおかしいかもしれない。
そう思って伝えると、慧さんはすぐには頷かなかった。
「いや……違うんだ。会ってほしいと思ってる。でも――」
一度言葉を切り、私を見る。
「悠里を驚かせてしまうだろうっていうのもあって……」
「驚かせる?」
何で? めちゃくちゃ怖いとか?
首を傾げた、そのときだった。