偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「今、相沢さんと付き合ってたって言いました?」
「言ったよ。俺は、相沢さんと付き合ってる頃から悠里が好きだった」
「え、ちょっと……本当に待ってください。だって、そんな素振り一度もなかったじゃないですか」
「彼氏のいる部下に出すわけないだろ。そこはちゃんと線を引いてたよ」
「それはそうですけど……」
頭の中が急速に混乱していく。
私の中では、あの日がすべての始まりだった。
理玖と揉めているところに慧さんが現れて、私を助けるために婚約者だと言ってくれて、その偽の関係を続けるうちに少しずつ距離が縮まり、今日ようやく本当の恋人になった。
ずっと、そう思っていた。
なのに、慧さんの話を聞いていると、どうやら最初から前提が違うらしい。