偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「じゃあ……最初から、半年経ったらきれいに偽の関係を終わらせようとは思ってなかったんですか?」
「思ってなかったよ。もちろん半年経っても悠里が俺をまったく男として見てなかったら、そのときは諦めるしかないとは思ってたけど、最初から終わらせる前提で始めたわけじゃない」
「それって……」
私はしばらく慧さんの顔を見つめ、それからようやく、自分の中に浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「もしかして、私、最初からはめられてません?」
慧さんが少しだけ考える顔をした。
「はめたっていうと聞こえが悪いな」
「じゃあ、なんて言うんですか」
「機会を最大限に活用したと言ってくれ」
「もっと悪いですよ!」
思わず声を上げると、慧さんが声を立てて笑った。
まったく反省している様子がない。
むしろ、ここまで話したことでようやく隠す必要がなくなったとでも言いたげに、いつもより楽しそうに笑っている。