偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「……ずるい」
「うん?」
「私だけ、少しずつ好きになったんだと思ってたのに。慧さんは最初からだったんじゃないですか」
「ああ。だから俺のほうが、ずっと長く待ってたよ。だから今日告白したのは、お見合いの件なんて関係ない。分かった?」
そう言って微笑まれると、また胸が鳴って、頷くしかなかった。
腹が立つはずなのに……。
この人が私をずっと好きで、そのくせ五か月も急かさず、私が自分から近づいてくるのを待っていたのだと思うと、不思議と怒る気力を失ってなってしまう。
それがいちばん悔しい。
「……私、タチが悪いのに捕まりましたね」
「今さら気づいた? 欲しいものがあるなら、手に入れるためにできることくらいはするよ」
そう言って慧さんは笑う。
「ただし、相手が嫌がらない範囲でね。悠里に嫌われたら、何の意味もないから」
そういうところが、やっぱりずるい。
策士なのに、最後の一線だけはきちんと私に委ねている。