偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!

 もちろん覚悟はできてる、とはいえ。
 いざ慧さんの部屋に着いて、玄関の扉が閉まった瞬間から、私は急に落ち着かなくなっていた。

 前に一度泊まったときは、怖い思いをした直後で、慧さんの家にいられることがただ安心で、彼と恋愛どうこうを考える余裕なんてほとんどなかった。

 けれど、今日は違う。
 私たちは本物の恋人同士で、私が自分から泊まりたいと言った。

 しかも、『別の部屋はナシ』とまで宣言している。

 私はプライベートでは、こんなことばかりだ。
 つい勢いで言ってしまう。

 リビングに入ってから妙にそわそわしている私を、慧さんは当然のように気づいているらしく楽しそうにこちらを見ている。
 絶対、面白がっている……。

「シャワー浴びるよね?」
「は、はい。もちろん」
「一緒に?」
「まさか!」

 反射的に答えると、慧さんが堪えきれないように笑った。
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