偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!

「……これまで長かった」

 低く落ちた声に、胸が締めつけられる。

「そんなにですか?」
「好きな女性が目の前にいるのに、上司として振る舞って……。五ケ月前からは偽の婚約者として振る舞って、嫌われないところまでしか近づかないようにしてたんだよ。俺にしては相当我慢したと思うけど」
「自分で言うんですね」

「褒めてもらいたいくらいだ」

 そう言って笑ったあと、慧さんの唇が今度は頬へ触れ、そのまま耳元へ近づいた。
 くすぐったさに肩を竦めると、それさえ面白がるように笑われる。
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