偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
ただ、悠里は自分は人に頼られるくせに、自分は頼ろうとしない部分があった。
もしかしたら、俺と悠里は少し似ているのかもしれない。そんなことを思っていた。
しかし、その時点ではやはりただの部下だった。
たぶん、気になり始めたのは、仕事以外の悠里を知ってからだ。
一度、相沢さんと一緒にいるところを偶然見かけたことがあった。
二人が付き合っていたことは、その時はじめて知った。
相沢さんが何かを言いながら悠里の肩へ手を回そうとして、悠里がその手を避けた。
「それ、嫌だからやめて」
そう、はっきり言っていた。
相沢さんは笑って何か返していたけれど、悠里は曖昧に笑って済ませなかった。
嫌だから、やめてほしい。
少し大変な仕事でもそんなことを言うことがなかったから、意外だった。
プライベートの彼女は、仕事とは違うのだろう。
はっきりと断ることもあるんだな、となぜかその光景が記憶に残った。