偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
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腕の中で、悠里が小さく身じろぎした。
起こさないように腕の力を少しだけ緩めると、薄いシーツの隙間から覗く白い肌に、昨夜、自分が残した痕がいくつか見える。
そこへ指先をそっと這わせながら、昨夜のことを思い出しただけで、勝手に頬が緩んだ。
あれだけ恥ずかしがっていたくせに、最後には自分から俺に腕を回してきたことも、最中に可愛い声で何度も名前を呼ばれたことも、まだ鮮明に残っている。
思い返せば、どうしたって嬉しくなる。
――だって慧兄、本気になったら絶対面倒くさいと思うもん。
ふと、以前翠に言われた言葉が頭をよぎった。
面倒くさい?
そんなことはないだろう。
眠っている彼女を腕の中に抱いたまま、もうかなりの時間が経っているのに、まったく眠くならないだけだ。
ただずっとこうして眠る彼女の幸せそうな顔を見ていたいだけ。
そして目を覚ましたら、最初に俺を見てほしいと思うだけ。そして、できれば、そのままずっとここにいてほしいだけ。
……これを面倒くさいと言うのだろうか?
いや、それくらいは好きなら普通だろう。
そう結論づけながら、眠る悠里の頬にかかった髪を指でそっと払う。
すると彼女がまた小さく身じろぎして、無意識に俺の胸元へ少しだけ寄ってきた。
それだけで、また口元が緩んだ。