偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
もう一度額に口づけると、慧さんは腕をほどいて「朝食とシャワーの準備してくるからそこにいて」と私の頭を撫で、ベッドから出た。
少しずつ離れていく背中を見つめる。
――ちゃんと考えておいて。俺とずっと一緒にいること。
そんなことを言われたら、考えるまでもない。
だって私はもう、さっきからずっと同じことを考えている。
――ずっと一緒にいられたらいいのに、と。
気づいたときには、身体が動いていた。
ベッドを降りて慧さんのところまで行くと、その背中へ腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。
慧さんの身体が止まった。
「……悠里?」
「考えました」
「早いな」
「だって、もう私も考えてたから」
慧さんがゆっくり振り返る。
それでも腕は離さず、今度は正面から抱きついた。
「私も……ずっと一緒にいたいです」
言ってしまった。恥ずかしくて、慧さんの胸に顔を埋める。
「昨日付き合ったばっかりだし、こんなの急すぎるのかもしれないし、あとで自分でもびっくりするかもしれないですけど。でも、さっき慧さんにずっといてほしいって言われたとき、私も同じこと考えてたから。だから……私が、ずっと慧さんのそばにいていいですか?」
一瞬、慧さんが何も言わなかった。
不安になって顔を上げると、今まで見たことがないくらい嬉しそうに笑っていた。