偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!

「いいに決まってるだろ」

 次の瞬間、強く抱きしめられ、すぐに頬にキスが落ちる。
 額にも。もう片方の頬にも。

「んっ……」

 最後に唇同士が重なって、今度は私も逃げずに慧さんの首へ腕を回した。

 何度か短いキスを交わして、少しだけ離れる。
 近すぎる距離で目が合った。

「悠里」
「はい」

「好きだよ」

 知っている。もう、ちゃんと知っている。
 それでも言われるたびに嬉しい。

「悠里を愛してる」

 今度は胸の奥がいっぱいになって、笑ってしまった。

「私も好きです。大好きです」

 私は少し背伸びをして、自分から慧さんに口づけた。

「……私も、愛してます」

 唇が離れると、私を抱きしめる慧さんの腕に、また少し力が入る。

「今のは、かなり嬉しいな」

 その言い方が思っていたよりずっと素直で、今度は私のほうが笑ってしまった。
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