偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
我ながら、ずいぶん急だ。
私にはまだ知らないことも、考えなければならないことも、きっとたくさんある。
でも、不思議と怖くはなかった。
「とりあえず、朝ごはんを食べたあと、父さんのところ行こうか」
「はい。私も行きたいです」
「でも、その前にもう一回」
「何がですか?」
聞き返した瞬間、慧さんが笑って、もう一度私に口づけ、抱き上げた。
そういう意味だったのか、と少し戸惑ったけど、まだ私も離れがたかったのもあり、彼の首に腕を回す。
「ちょっとだけですよ」
「あぁ」
嬉しそうに笑った彼の顔が間近に見えて、私の胸は痛いほど高鳴った。