偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
エピローグ
L'ÉCRIN五十周年企画は、大きな成功を収めた。
途中で方向性を大きく変更することになり、本当にこれで間に合うのかと何度も不安になったけれど、蓋を開けてみれば想像以上の反響があり、私たちのチームは社長賞まで受賞することになった。
なかでも、【頑張った自分へのご褒美にL'ÉCRIN】というコンセプトは好評で、自分へのご褒美として予約してくださるお客様が増え、一年以上先まで予約が入るほどになった。
「久世さんより、あなたのほうがこの企画には向いていたのかもしれませんね」
企画が一段落した頃、南野さんからそんな言葉までかけてもらった。そして彼の口元がふっと緩んだ。
たぶん、私が見た初めての南野さんの笑顔だった。
――そして、その後、私はL'ÉCRINの正式な担当になったのだ。
大きな企画が終われば少しは落ち着くと思っていたのに、現実はそんなに甘くなく、前より忙しい日も増えた。
それでも、自分たちで作った企画が形になり、その先まで任せてもらえるようになったことは素直に嬉しいし、仕事も以前よりずっと面白いと思えるようになっている。