偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
新しい恋人がいないのなら、自分が触れても構わないとでも思っているのだろうか。
その言葉にまた引っかかりを感じながら理玖を見上げれば、彼は悪びれる様子もない顔をしている。
三年も付き合っていたけど、別れた後からさらに彼の悪い部分が出てきたように思う。
私がどれだけ「もう無理」「やり直すつもりはない」と伝えても、自分が納得できなければ別れたことにすらしてくれない。
きっとこのままでは、私に新しい恋人でもできない限り、理玖は何度だって同じことを繰り返す。
だったら――。
「それに……私、もう付き合ってる人がいるから。だから理玖とやり直すことは絶対にないの」
我慢しきれず、思わずそんなことを口にしていた。