偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!

「あの、本当にお昼、私とでよかったんですか?」

 会社の近くにある店に入り、向かいの席に座ったところで私が改めて尋ねる。
 久世部長はメニューを手に取りながら、何が、とでも言いたげにこちらを見た。

「いや、お互い忙しいだろ。せっかく同じ職場にいるんだから、こうやって昼休みに話したほうが効率がいい」
「まぁ、それもそうですよね。仕事が終わってからわざわざ時間を作るより、このほうがいいですもんね」

「それで、あれから元カレからは連絡ないか?」
「はい、おかげさまで。毎日のように連絡が来てたのが嘘みたいに何もなくて、おかげさまで久しぶりにゆったり週末を過ごせました。だから、これでもう大丈夫なのかなって思ってます」

「そうか。それならよかった。ただ、まだ完全に油断はできないと思うけどな」
「そうですね。でも、少なくとも今のところは大丈夫そうです」

 理玖から連絡が来ない週末なんて別れて以来ほとんどなかったため、久しぶりにスマートフォンを気にせず過ごせた二日間を思い返すだけでもほっとする。

 そして改めて目の前にいる久世部長には助けてもらったのだと実感した。
< 33 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop