偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「それに、その恰好を他の男には見せたくないから」
「……はい?」
あまりにもきっぱりと言い切られたせいで、何を言われたのか理解するまで一拍遅れ、私はタオルを握ったまま目を白黒させた。
いやいや、待って。
今ここには理玖どころか、ほかの社員すらいないんですけど。
それなのに、どうしてそんな台詞がさらっと出てくるの?
――この人、彼氏の演技が完璧すぎない?
もしかして演劇部出身だろうか。そんなことを本気で考えていたけど、本当にメール一本送った後、自宅まで車で送り届けてくれた。