偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
それから予定どおり両親を連れて東京観光をしたものの、スカイツリーを見ても食事をしても、両親の頭の中ではすっかり私と久世部長が付き合っていることになっているらしく、少し油断するとすぐに話題がそちらへ戻ってしまった。
「お母さん、すごくいいと思うわ。若いのに部長さんでしっかりしてるし、話し方も感じがいいし、なにより悠里のことを仕事でも頼りにしてくれてるんでしょう?」
「お父さんもそう思うぞ。上司と部下なら普段の仕事ぶりもお互いわかってるだろうし、変な男よりずっと安心できる」
「もう、なにもないってば。勝手に話を進めないでよ」
「そういうの、お母さんには分かるのよ。伊達に長年生きてないもの。あの久世さんの感じ、絶対になにもない相手にする態度じゃなかったわ」
「お母さんは久世部長と三分くらいしか話してないでしょう!」
いったい三分間で何がわかったというのだろう。
しかし、そう言われると私だって最近、久世部長はずいぶん彼氏らしいというか、もし本当にこんな人が彼氏だったらいいだろうな、と思わなくもない。
なにしろ仕事はできるし、困っているときには助けてくれるし、雨に濡れれば車で家まで送ってくれるうえに、誰も見ていないところでも平然と『悠里の身体が心配なだけ』なんて言えてしまう。
なんていうか、触れられたことはないのに、自分を大切にされているように思える。
「お母さん、すごくいいと思うわ。若いのに部長さんでしっかりしてるし、話し方も感じがいいし、なにより悠里のことを仕事でも頼りにしてくれてるんでしょう?」
「お父さんもそう思うぞ。上司と部下なら普段の仕事ぶりもお互いわかってるだろうし、変な男よりずっと安心できる」
「もう、なにもないってば。勝手に話を進めないでよ」
「そういうの、お母さんには分かるのよ。伊達に長年生きてないもの。あの久世さんの感じ、絶対になにもない相手にする態度じゃなかったわ」
「お母さんは久世部長と三分くらいしか話してないでしょう!」
いったい三分間で何がわかったというのだろう。
しかし、そう言われると私だって最近、久世部長はずいぶん彼氏らしいというか、もし本当にこんな人が彼氏だったらいいだろうな、と思わなくもない。
なにしろ仕事はできるし、困っているときには助けてくれるし、雨に濡れれば車で家まで送ってくれるうえに、誰も見ていないところでも平然と『悠里の身体が心配なだけ』なんて言えてしまう。
なんていうか、触れられたことはないのに、自分を大切にされているように思える。