偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「……別れるときも言ったけど、理玖の『心配』って本当は私のためじゃないよね? 本当に私を心配してるなら、私が嫌って言ってることをしないよ」
「悠里……」
「もう私たちは別れたの。だから家まで来ないで。待ち伏せもしないで。私のことを調べたりもしないで。もう理玖に心配してもらう必要もないの」
今度こそ伝わってほしいとまっすぐ見つめて言うと、理玖は初めて私の言葉をまともに受け止めたように目を見開き、しばらく何も言わなかった。
もしかしたら、やっとわかってくれたのかもしれない。
そう思ったのに、次の瞬間、理玖は困ったように口元を緩めた。
「いちいち、そう怒るなって。ただ本当のことを言い当てられて、不機嫌なだけなんだよな、悠里は」
「……え?」
そして、私の返事を待つこともなく、突然両腕を伸ばして抱きしめてきたのだ。
一気に全身の毛が逆立つような感覚が走り、身体中から血の気が引いていくのがわかった。
やっぱり、だめだ。
どれだけ言葉にしても、この人には伝わらない。