偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
第六章 家族
私はそれから、久世部長の部屋にお邪魔していた。
「落ち着いたか」
「はい……。すみません、ご自宅にまで押しかけるなんて。こんな時間に本当に申し訳ないです」
「いや、むしろ今の悠里を一人にするほうが心配だから。今日はここにいればいい」
久世部長はそう言って、ソファの前のローテーブルに温かいお茶を置いてくれた。
大きな窓の向こうには東京の夜景が広がり、いくつもの明かりが瞬いている。
でも、室内は驚くほど静かだった。間接照明の柔らかな光に照らされた部屋には、壁に掛けられた時計の針が進む音だけが聞こえている。
「……ありがとうございます」
少し前まで、物音がするたびに理玖ではないかと身体を強張らせていたのに、今はそんな緊張も少しずつ薄れていた。
温かいお茶を一口飲み、ようやく周囲を見る余裕が出てきたところで、私はもうひとつ気になっていたことを思い出した。
――この家、どう考えても高そうなんだけど。
「落ち着いたか」
「はい……。すみません、ご自宅にまで押しかけるなんて。こんな時間に本当に申し訳ないです」
「いや、むしろ今の悠里を一人にするほうが心配だから。今日はここにいればいい」
久世部長はそう言って、ソファの前のローテーブルに温かいお茶を置いてくれた。
大きな窓の向こうには東京の夜景が広がり、いくつもの明かりが瞬いている。
でも、室内は驚くほど静かだった。間接照明の柔らかな光に照らされた部屋には、壁に掛けられた時計の針が進む音だけが聞こえている。
「……ありがとうございます」
少し前まで、物音がするたびに理玖ではないかと身体を強張らせていたのに、今はそんな緊張も少しずつ薄れていた。
温かいお茶を一口飲み、ようやく周囲を見る余裕が出てきたところで、私はもうひとつ気になっていたことを思い出した。
――この家、どう考えても高そうなんだけど。