偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
 けれど、しばらくすると翠くんは時計を確認し、勢いよく立ち上がった。

「じゃ、俺はそろそろ戻ります。これ以上いたら本当に邪魔になりそうだし」
「最初から邪魔だ。次からはインターホンを押せ」

「はいはい。じゃあ悠里さん、ごゆっくり~」
「えっ、いや、ごゆっくりって……」

「おやすみなさい!」

 最後まで楽しそうに笑いながら翠くんは玄関へ向かい、やがて扉の閉まる音が響いた。

 さっきまであれほど賑やかだったせいか、二人きりになった途端、部屋の中が妙に静かに感じられる。
 そして、その静けさの中で、私は今さらながら大事なことに気づいた。
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