偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
第七章 対話
結局、その夜はあまり眠れなかった。
けれど、それは理玖がまた来るかもしれないという恐怖心からではない。
目を閉じるたびに慧さんの言葉や表情が浮かんできて、どうにも頭の中が静かになってくれなかったからだ。
キスしてしまいそうだと言われたこと。
それなのに、寝るときにはわざわざ別の部屋を用意して、中から鍵までかけていいと言われたこと。
彼氏みたいに優しくされて、そのたびに期待しそうになるのに、少し距離を置かれれば、やっぱり全部演技だったのだと思ってしまう。
そんなことをぐるぐると考えているうちに、いつの間にか窓の外が明るくなっていた。