偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
第八章 私にできること
――悠里は俺が幸せにします。
――大事な人のことだから、ここできちんとしておきたいんです。
さっき慧さんが口にした言葉が、何度も頭の中で繰り返される。
演技だとわかっている。
理玖を納得させるために言ってくれただけだし、私たちは本当の恋人ではない。
それなのに、どうしてこんなに嬉しかったんだろう。
「もう大丈夫だと思うよ」
理玖が店を出ていってからしばらくして、慧さんが静かにそう言った。