arch
「ああ!」あれ、身長だったのか。
「最初に訊かれた時、長く測ってなかったからさ。それも、家でテキトーに計ったから合ってるかはわかんない」
 だから『知らない』って言ったのか。……会話。続いてる。それに、わざわざ測ってくれたんだ。それに、それに、それに!
 笑った。
 もう一度、笑って欲しくてじっと見る。
「……何?」
 槇野くんは怒ったように、ふいっと目を逸らしてしまった。

「ごめん、笑ったーって思って。もう一度笑わないかなって」
「ふっ、何それ。俺、何だと思われてんの?」
 槇野くんはもう一度私を見ると、ちょいっと坂の下のベンチを指差し、そちらへ向かって歩きだした。
 ……座ろうって事……かな?
 私はいつも見ている槇野くんの背中を追いかけた。ベンチには大きな鞄が置いてあって、槇野くんは私が座れる様にそれを地面に置いた。荷物、大きいなと思ってたけど、ボールが入ってたのかな?ベンチに腰掛け、チラリと顔を上げずに盗み見ると、ズボンはどうやら制服のままで、シャツは脱いだのかな?Tシャツだ。

「で、何でここまで来たの?」

 ……確かに。槇野くんだと思ったら、勝手に体が走りだしていた。槇野くんは指先でくるくるくるくるボールを回しながら、私の返事を待ってくれていた。
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