arch
 ──お昼休み
 この日の変化といえば、槇野くんのいない教室の外へ連れ出されたくらい。
「外とか、微妙! ちょっとそろそろ蚊とかいそうっていうか……」
 由紀恵と梨花子に抵抗をしてみたけれどああ、これは無駄な抵抗ってやつだ。
「まだ大丈夫。爽やかな陽気」
 有無を言わさず、中庭のちょっとしたスペース、花壇のブロックをぱっと払うと座るように促された。その前に、由紀恵と梨花子が並ぶ。
「吐け」
「吐くんだ」
 それだけ言うと、由紀恵はいつも通りケラケラと笑ったし、梨花子は「わっかりやすいなー、唯」と言った。
「やっぱりそう思う? 」多分、凄い情けない顔をしていたと思う。由紀恵はケラケラを通り越してゲラゲラ笑ったし、梨花子も吹き出した。

「好きなんだ。槇野の事」
 こうもハッキリ言われては、私も
「うん」と、言うしかなかった。「何でかわからないんだけど……」そう付け加えると

「そんなもんだよね、好きになるって」
 そう言った由紀恵もそんな恋の経験者なのだろうか。

「ふーん、そんなもんかあ」
 そう言った梨花子がミートボールと入れ換えに私のお弁当からチーズの入ったチクワを一つ持っていった。

「怖くない?」
「大丈夫」
「ふうん」
「髪の毛、赤くないもんね」
 梨花子が真顔でそう言うから、思わず吹き出す。
「そりゃね。本当かな、その噂」
「ほら、バスケやってるから某キャラクターに憧れたとか!?」
 梨花子から『バスケ』その言葉が出て驚いて顔を上げた。
 ……梨花子も知ってたんだ。槇野くんがバスケしていたこと。



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