arch
「単純でいいのにねえ」
由紀恵はいつもみたいに明るいそう言った。この子のこんなところが、羨ましくも、好きなところだ。
「私のクッキング部は今月は麹の仕込みだよ」
うぇーとわざとらしく白目を向いて肩をすくめて見せた。
「麹?」
「そ、自家製の。マフィンとかクッキーとか そんなんだと思うじゃんねぇ。私が3年生になったら、絶対ガラリと変えてやる!」
ぐちぐちと文句を言いながらも、どうやら3年間続けるらしい由紀恵に笑いながらお昼休みを終えた。
席に座ると、目の前には“好きな人”の背中。
何があったのだろうか。本当はもっと明るい人だったかもしれない。ちゃんと笑った顔が見たい。知りたい。でもそれが彼に取っては知られたくない事なら……そこには触れずにいた方がいいのだろうか。好きになるということは、少し欲張りになるのかもしれない。私はもっと彼を知りたいと思った。
彼の机の横には昨日と同じ大きなバッグが掛けられていて、きっと中にはシルバーブルーのバスケットボールが入っている。
私の心の中で回るボールは止まりそうもなかった。
くるくる……くるくる。
初めての感情に戸惑うばかりではなく、彼へと近づきたいと思う気持ちを止められそうもなかった。自分が冷静ではないことだけは、わかった。
由紀恵はいつもみたいに明るいそう言った。この子のこんなところが、羨ましくも、好きなところだ。
「私のクッキング部は今月は麹の仕込みだよ」
うぇーとわざとらしく白目を向いて肩をすくめて見せた。
「麹?」
「そ、自家製の。マフィンとかクッキーとか そんなんだと思うじゃんねぇ。私が3年生になったら、絶対ガラリと変えてやる!」
ぐちぐちと文句を言いながらも、どうやら3年間続けるらしい由紀恵に笑いながらお昼休みを終えた。
席に座ると、目の前には“好きな人”の背中。
何があったのだろうか。本当はもっと明るい人だったかもしれない。ちゃんと笑った顔が見たい。知りたい。でもそれが彼に取っては知られたくない事なら……そこには触れずにいた方がいいのだろうか。好きになるということは、少し欲張りになるのかもしれない。私はもっと彼を知りたいと思った。
彼の机の横には昨日と同じ大きなバッグが掛けられていて、きっと中にはシルバーブルーのバスケットボールが入っている。
私の心の中で回るボールは止まりそうもなかった。
くるくる……くるくる。
初めての感情に戸惑うばかりではなく、彼へと近づきたいと思う気持ちを止められそうもなかった。自分が冷静ではないことだけは、わかった。