arch
 ──この日から、私の生活はルーティンとなった。

 学校では槇野くんの背中を見つめ
(由紀恵と梨花子によるとそれはもうアツく見つめているらしい)
 HRが終わるとダッシュしてベランダへ。そこから槇野くんの姿が見えるとまたダッシュするのだ。

学校では、朝「おはよう」って言って、槇野くんは「うん」って頷く。
河川敷ではぽつぽつと話してくれるようになった。だけでなく、時々……笑う。
 話題はいつもバスケのこと。つくづくバスケという共通の話題があってよかったと思う。私も槇野くんもやめてしまっているのに不思議な話だ。

 私は槇野くんに教えて貰って3秒くらいはボールを指の上で回せるようになった。槇野くんが自分の指の上で回したものを私が受け取るだけなのに、簡単そうにみえて難しい。
「あー、もう、なんでえ?」
 悔しがる私に、ごくたまに
「はは」って笑ってくれる。槇野が笑ってくれるなら、ボールなんて回せなくてもいいかなと……身が入ってないのも事実。

 やっぱりダンクは見せてくれないけど、フリースタイルの技は何度か見せてくれた。

「何でフリースタイルしようと思ったの?」
 そう聞くと、わかりやすく顔を曇らせた。すっと伸びた睫毛が伏せられ、回っていたボールはピタリ止められた。

 聞いたらまずかったのだろうか……。
< 30 / 52 >

この作品をシェア

pagetop