arch
「自分が3年になった時にはもう誰からも言われる事もなかったしね」
「そうだね。やっぱり1年生の時は目立っちゃうからね」

 だったら、なぜ……バスケから離れたのだろうか。
 髪を揺らす風が少し冷たくなってきたこと気付き、日暮れが近いのだ。
夕陽が川に映って小さく朱色の波が見える。綺麗なのに、何だか悲しげにも見えて、それは槇野のくんの心模様かもしれない。
 私たちは何も言わず、ゆらゆら揺れる水面を見ていた。槇野くんのボールもくるくる回ってはいなかった。

「……宮原さん」
「は、はい」

 急に名前を呼ばれ、ふと顔を上げた。悲しげな瞳が少し揺れる。憂いを含んだその瞳を綺麗だなって、悲しくて綺麗だなって思った。
 ふいっと目を逸らされ
「俺が、学校休みがちだから、心配してくれてるんだよね」

 勿論そうだ。心配してる。来なかったらどうしようかと思うから。

「もう……いいから」
 小さな声でそう言うと彼は立ち上がった。

「たまたま、席が後ろだったから、休んでたら気になるよね。責任も感じてくれなくていいし……無理はしないで。俺は俺で……大丈夫だから」
 そう言って歩きだした。
 
 放っておいてくれと言う言葉。でもそんな意味には思えなかった。突き放すような意味には。なぜだろう、いつの間にか全然“怖く”ない。
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