arch
 それが通じたのか
「控えめにしたつもり」と、彼は眉を下げた。
 ポイッと私にボールを投げてよこす。
「それ、6号だし、ちょっと調子も掴めないしな」
「調子掴めなくてこれぇ!? どうせならダンクでもしてくれたら良かったのに」
「うーん……」

 眉を下げたまま、ゴールを指差して
「これ、壊れないかな? 弁償するの、嫌だなあ」
 なんて言うからお腹を抱えて笑った。

「いや、笑うけど公共の物だし、俺の全体重かかるだろ? これはダンク想定されて設置されてるのか、規定満たしてんのかなあ……壊したら悪いだろ。バスケットゴールって貴重だし」
「確かにそんなにないもんね」
「そんなにじゃないよ、全然ない。学校以外では全然ないよ」
「そう、なんだ……」
 私はここの近所に住んでるから、そんなこと気づかなかった。

 私がそのゴールをしみじみと眺めてる間に、槇野くんは支柱を確かめたり、リングを確かめたり、しばらくすると助走をつけて、リングに軽くぶら下がった。いとも簡単にそんな事をしてのけるもので、こちらの感覚も麻痺しそうになる。

「え、ちょ、本当にリングに届くの?」
「……うん」
 そう言って、軽く跳ぶとボードを触って見せた。
「あ、はあ」間抜けな声しか出ない。凄いなー、と。
「言っても俺、片手ダンクしか出来ないから。コツがいまいち……もうちょい上に跳べたらいいんだろうな……」
「……」

 絶句。何それ。
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