arch
水色のがほんのり赤く……茜色が出てきた空を見上げた。このくらい自分と違う人を見ると、不思議と嫉妬心が薄れる。同じ土俵にいないって理解するからだ。単純にすごいと尊敬する。

「すっごい練習した。絶対に試合で使うことはないけど、すっごい練習した」
 青空と夕焼けの混じった空をバッグにはにかむ顔は……反則なんてものじゃない。元々好きな人のそれはもうすっごいところを見せられてはにかまれては
これは惚れ直すどころじゃない。どうしてくれるのって、開き直った感じ。
同時にすっごい雲の上の人って感じ。
 距離が開いちゃったな。目の前にいるのに……。

 私の学校を出る時の強い決意なんて、あのリングにガンッと当たって跳ね返ってどっかに行っちゃったんじゃないかと思う。

 この人はすごい人なんだなって認識して急に遠く感じた。元々近いのは物理的な座席くらいで。褒めて欲しいわけでもなさそうな槇野くんから、これが彼にとってそんな大それた事ではないのだと悟る。尚更すごい……や。

「いいなあ、そんな風に跳べたら、どんな景色が見えるのかな」
 きっと……全然違うんだろうな。自分の体が自分の思う通りに動く、そんな身体能力に恵まれた人。

「うん、俺もそう思ってた。だから、見てみようと思った」
「そっか」

 見てみようと思って見られる人はとても稀だ。
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