arch
「いいなあ」私は羨ましい気持ちに自分には無理だという少し寂しいような気持ちでそう言った。
槇野くんは、私の頭頂部とバスケットゴールへ視線を往復させた。……何の確認だろう、絶対にダンクなど出来ないのだけれど。
「脚立……」と言った。
「は? 脚立?」
「うん、俺んち脚立あったな、と思って。結構高いやつ。梯子だとボードに立て掛けるだけじゃ、ちょっと不安だし。やっぱ、脚立……」
真顔の槇野くんが呆気に取られるくらい、笑ってしまった。
「ま、槇野くん! 脚立、脚立って! 私……別にそういう意味でダンクしてみたいんじゃないよ。それなら、子供向けのおもちゃとかそんなんで気分は味わえるし。てか、ここに脚立持ってきてシュートしてたら恥ずかしいよ。子供じゃないんだから……」
「あ、そうか」
槇野くんがかあっと顔を赤く染めて、手で隠してしまった。
「馬鹿すぎるね、俺。小学生なら今日から俺のあだ名“脚立”になってるとこだ」
「あ、あはは! 脚立って、あだ名脚立って!」
私はそこから息も絶え絶えに、顔が崩れてるってわかっても止められないくらい笑い続けてしまった。
「そんなに笑わなくったって」
槇野くんはばつの悪そうな顔をして、シルバーブルーのボールで茜色を跳ね返すように、くるくるくる手持ちぶさたに私が落ち着くのを待っていてくれた。
槇野くんは、私の頭頂部とバスケットゴールへ視線を往復させた。……何の確認だろう、絶対にダンクなど出来ないのだけれど。
「脚立……」と言った。
「は? 脚立?」
「うん、俺んち脚立あったな、と思って。結構高いやつ。梯子だとボードに立て掛けるだけじゃ、ちょっと不安だし。やっぱ、脚立……」
真顔の槇野くんが呆気に取られるくらい、笑ってしまった。
「ま、槇野くん! 脚立、脚立って! 私……別にそういう意味でダンクしてみたいんじゃないよ。それなら、子供向けのおもちゃとかそんなんで気分は味わえるし。てか、ここに脚立持ってきてシュートしてたら恥ずかしいよ。子供じゃないんだから……」
「あ、そうか」
槇野くんがかあっと顔を赤く染めて、手で隠してしまった。
「馬鹿すぎるね、俺。小学生なら今日から俺のあだ名“脚立”になってるとこだ」
「あ、あはは! 脚立って、あだ名脚立って!」
私はそこから息も絶え絶えに、顔が崩れてるってわかっても止められないくらい笑い続けてしまった。
「そんなに笑わなくったって」
槇野くんはばつの悪そうな顔をして、シルバーブルーのボールで茜色を跳ね返すように、くるくるくる手持ちぶさたに私が落ち着くのを待っていてくれた。