君の才能ごと、独り占め
その日から、榊くんは本当に宣言どおりになった。

移動教室では私の席の近くで待っている。昼休みは当然のように向かいに座る。放課後に職員室へ行くときも、何も言わず隣を歩く。

周りの視線は前よりずっと増えた。けれど不思議と嫌ではなかった。

彼がまっすぐすぎるからだ。

守ると決めたら、周りの目なんてどうでもいいという態度でそばにいる。

そんなふうに大事にされて、平気でいられるはずがない。

放課後、先生に手紙のことを報告したあと、私は少し疲れて屋上前の踊り場に座り込んでいた。夕方の校舎は静かで、遠くから運動部の声だけが聞こえる。

「こんなとこにいた」

見上げると、榊くんがペットボトルを差し出してきた。

「ありがとう」

「ちゃんと飲め」

「うん」

隣に腰を下ろした彼は、しばらく何も言わなかった。

その沈黙が心地いい。

無理に励まさない。元気づけようともしない。ただそばにいてくれる。
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