君の才能ごと、独り占め
「でも今は違う」

榊くんがゆっくり私を見る。

その目はいつもより熱を持っていて、逃げられないと思った。

「おまえが誰にすごいって言われるかとか、どんな才能があるかとか、正直どうでもいい」

息をのむ。

「俺が見てるのは、頑張りすぎて無理する橘星音だ」

夕陽が彼の横顔を染める。

静かな声なのに、ひとつひとつが胸に深く落ちてくる。

「笑ってても、困ってても、強がってても、全部目に入る」

もう、期待するなという方が無理だった。

「俺は、おまえが思ってるよりたぶんずっと」

そこで彼は一度言葉を止めた。

喉が渇く。

次の一言で、何かが決まってしまう気がした。
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