君の才能ごと、独り占め
「俺も名前で呼ばれたい」

「……恒一くん」

その一言で、彼の腕に少しだけ力がこもる。

「だめだ。かわいすぎる」

「そんなこと言わないで」

「無理」

少し離れた距離で見つめ合う。

その顔が近づいてきたから、思わず目を閉じかけた。

けれど彼は額をこつんと触れさせるだけで止まる。

「今日はここまで」

「……え?」

「今キスしたら、たぶん止まれない」

あまりにも真剣に言うから、恥ずかしさで倒れそうになる。

榊くん――いや、恒一くんはそんな私を見て、珍しく少しだけ楽しそうに笑った。

「顔真っ赤」

「恒一くんのせいだよ」

「知ってる」

そう言ってまた頭を撫でる。

やさしいのに、甘やかすみたいな手つき。

「帰ろう。送る」

「毎日こんな感じなの?」

「これからもっと」

さらりと言われて、胸が鳴る。

もっと。

その先を想像するだけで、幸せで苦しくなる。
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