君の才能ごと、独り占め
「座って」

「え」

「一緒に弾く」

「恒一くんが?」

「そう」

まさかの提案に、私は目を丸くする。

「人前では弾かないんじゃなかったの」

「人前じゃない」

「私の前は?」

「……今日は例外」

その言い方に少し笑ってしまう。

私は彼の隣に腰かけた。
距離が近い。制服の袖が軽く触れる。

「何弾くの?」

「簡単なのでいい」

彼は短くそう言って、低音をひとつ鳴らした。
やわらかな和音が続く。

「星音、上」

「え、いきなり?」

「できる」

その信頼みたいな言い方に背中を押される。
私はおそるおそる鍵盤に指を置き、彼の伴奏の上に音を重ねた。
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