君の才能ごと、独り占め
「充電させて」

「え」

「星音不足」

またそんな言い方をする。

胸がどきどきして、逃げたくなるのに逃げたくない。

「……具体的には?」

聞いてしまった自分に、すぐ後悔した。

でも恒一くんは視線を逸らさない。

「抱きしめたい」

低い声。
それだけで全身が熱くなる。

私は中庭の入口をちらっと見る。誰もいない。
風に葉が揺れる音だけ。

「少しだけなら」

そう答えた瞬間、恒一くんの腕がそっと私を包んだ。

文化祭のにぎやかな校舎が嘘みたいに、そこだけ静かだった。
彼の胸に頬が触れる。
規則正しい心音が聞こえて、それだけで安心する。

「……ほんとにすごかった」

耳元でささやかれ、胸が甘く震えた。

「俺、ああいう星音見るたび思う」

「何を?」

「好きだなって」

ぎゅっと抱きしめる力が少しだけ強くなる。

「才能ごと好きなのに、みんなには見せたくない」

その矛盾した本音が、どうしようもなく彼らしい。
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