君の才能ごと、独り占め
離れたあともしばらく、私は息を整えられない。
恒一くんも珍しく少しだけ呼吸を乱していた。
「……もう無理」
「え」
「星音かわいすぎる」
「それ私のせい?」
「半分くらいそう」
そんなことを言いながら、彼はまた私の髪に触れる。
甘やかすみたいに、丁寧に。
「戻らなきゃ」
私がそう言うと、恒一くんは少しだけ不満そうな顔をした。
「あと十分」
「だめだよ」
「五分」
「恒一くん」
「……二分」
交渉が細かい。
思わず笑うと、彼も仕方なさそうに息をついた。
「じゃあせめて、午後のシフト終わったらまた来て」
「うん」
「今度はもっと人いないとこで」
「それ危ない言い方」
「危なくしない」
「ほんとに?」
「星音が嫌がることはしない」
まっすぐな返事に、胸がじんとあたたかくなる。
「知ってる」
「ならいい」
教室へ戻る途中も、視線は多かった。
講堂の演奏を見た生徒たちが、廊下ですれ違うたびこちらを見る。
恒一くんも珍しく少しだけ呼吸を乱していた。
「……もう無理」
「え」
「星音かわいすぎる」
「それ私のせい?」
「半分くらいそう」
そんなことを言いながら、彼はまた私の髪に触れる。
甘やかすみたいに、丁寧に。
「戻らなきゃ」
私がそう言うと、恒一くんは少しだけ不満そうな顔をした。
「あと十分」
「だめだよ」
「五分」
「恒一くん」
「……二分」
交渉が細かい。
思わず笑うと、彼も仕方なさそうに息をついた。
「じゃあせめて、午後のシフト終わったらまた来て」
「うん」
「今度はもっと人いないとこで」
「それ危ない言い方」
「危なくしない」
「ほんとに?」
「星音が嫌がることはしない」
まっすぐな返事に、胸がじんとあたたかくなる。
「知ってる」
「ならいい」
教室へ戻る途中も、視線は多かった。
講堂の演奏を見た生徒たちが、廊下ですれ違うたびこちらを見る。