君の才能ごと、独り占め
「ごめん、写真は今ちょっと」

やんわり断っても、次から次へと声が飛んでくる。
そのときだった。

「通って」

低い声が割って入る。

見ると、トレーを持った恒一くんが人の間に立っていた。
表情は穏やかなのに、なぜか周囲が自然と道をあける。

「榊くん?」

「注文の飲み物」

そう言いながら、彼はさりげなく私の前に立つ形になった。
完全に壁だ。

「ありがとう」

「ん。休憩、五分後」

「え?」

「シフト表見た。休憩入ってる」

そこまで把握しているのかと驚く。
けれど彼は当然みたいな顔だった。

「だから、五分後に裏口」

耳元でそう言って、すぐ離れていく。

クールな顔のまま、やることが全部ずるい。

五分後、私は言われた通り教室裏口へ向かった。
ドアを開けると、恒一くんが壁際で待っている。

「ほんとに来た」

「来るって言ったもん」

「えらい」

またその言い方。
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