君の才能ごと、独り占め
「橘さん、そろそろ戻ってー!」

「はーい!」

返事をすると、恒一くんが小さくため息をつく。

「返したくない」

「返して」

「嫌だ」

「嫌でも」

「……わかってる」

そう言いながらも、彼はなかなか離れようとしない。
そしてふいに、私の耳元でささやいた。

「午後終わったら、絶対連れてく」

「どこに?」

「静かなとこ」

「校内で?」

「たぶん」

「たぶんって」

「星音とふたりになれればどこでもいい」

その言葉に、また心臓が跳ねた。
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