過去の傷も全部、君の熱で上書きして。

────そして今。



こうして俺の部屋に二人きりでいる。

​スーパーで買い物をしていた時もそうだ。

「手、離そう」
と焦る結衣ちゃんの小さな手を、わざと恋人繋ぎで強く握り締め返した。

『夫婦みたいにお買い物するの、嫌ですか?』
とからかってみせれば、結衣さんは一瞬で耳たぶまで真っ赤にして
「ふ、夫婦って・・・っ」
と絶句する。​


(可愛い・・・っ。なにそれ、可愛すぎて心臓破けるんだけど・・・!)


​ポーカーフェイスを保ちながらカートを押していたけれど、脳内では歓喜の叫びが暴走していた。

過去のトラウマに怯えていた彼女が、俺の手を振り払わずに握り返してくれている。

職場で見せる''頼れる先輩''の仮面が剥がれ、俺の前でだけ見せてくれる無防備で可憐な素顔。

それを見るたびに、俺の中の独占欲がドロッとした快感となって全身を駆け巡る。​

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