過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
「先週の社内ミーティングの時もさ、瀬戸くん、結衣のことずっと目で追ってたよ? 誰かと話してる時も、さりげなく間に割り込んできたりしてさ。爽やかだけど、なんか結衣に対してだけ独占欲が見え隠れしてるっていうか・・・・他部署の女子の間でも噂になってるんだよね。『藤崎先輩と瀬戸くん、絶対にただの関係じゃないよね』って。」
「噂・・・・!?」
結衣の背筋を、冷たい汗がサーッと伝っていった。
完璧に隠せていたと思っていた。
オフィスでは「藤崎先輩」「瀬戸くん」と呼び合い、一定の距離を保っていたはずだった。
だが、廉が端々で見せていたあの甘く重い視線や、さりげない接触は、周りの目から見ても隠し切れていなかったのだ。
美咲が少し真面目な顔になって言葉を重ねる。
「結衣、気をつけてね。瀬戸くんって入社以来ダントツで成績トップだし、上層部からもすごく期待されてるホープでしょ? もし社内恋愛、しかも教育係との噂が本格的に広まったら、瀬戸くんのキャリアに傷がつきかねないよ。『女にうつつ抜かして仕事がおろそかになってる』なんて言われたら可哀想じゃない。」
「・・・・・っ」
その言葉が、鈍い痛みとなって結衣の胸を深く刺した。
『瀬戸くんのキャリアに傷がつく』
『可哀想』
頭の中で、過去の苦い記憶がフラッシュバックする。