過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
怯えた瞳、強張った唇。

そして、俺の手を振り払って吐き出された言葉。​


『お互いために、しばらく距離を置こう』

​・・・お互いのため? 俺の将来のため?

冗談じゃない。

そんな綺麗な言葉で誤魔化して、また俺から逃げようとしているのが手に取るように分かった。

過去の傷に怯えて、俺の未来を勝手に案じて、一人で勝手に身を引こうとしている。​

その瞬間、俺の中で何かがプツンと切れた。

​理由なんてどうでもよかった。

手首を掴み、非常階段へと引きずり込む。

壁に押し付け、泣きそうな彼女を見下ろした時、湧き上がってきたのは怒りではなく、気が狂いそうなほどの愛おしさと''絶対に失いたくない''という恐怖だった。​

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