過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
吐き出すように言った自虐の言葉。

過去のトラウマから自分を守るために必死で作った言葉の壁。​

静寂が二人を包み込んだ。

廉が黙り込んだことで、「言い過ぎた」と青ざめた結衣が恐る恐る顔を上げた、その時────。


​「・・・・あんな男と一緒にしないでください。」​

廉の顔から、今まで見たこともないほど深くて重い感情が溢れ出ていた。

爽やかな後輩の顔も、イタズラっぽい男の顔もない。

ただ一筋に結衣だけを見つめる、切ないほど情熱的な瞳。​

廉は結衣の手首をそのまま引き寄せ、路地裏の壁際へと彼女を追い詰めた。​


「なっ・・・瀬戸、くん・・・!?」

「''からかわれてる''? ''いつか捨てられる''? ・・・冗談じゃない。」


​両手で結衣の頭の横の壁を叩き、逃げ道を完全に塞ぐ。

息がかかるほどの至近距離で、廉の低い声が結衣の全身を震わせた。​


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