過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
「・・・・・っ!?」
不意に、頬に触れた柔らかい感触と、リップ音。
結衣先輩から、自分からキスをしてくれた。
『唇は風邪が治ってから。・・・ね? だから今日は、これで大人しくしてて。』
耳元で優しく囁かれた瞬間、全身の血が逆流するかと思った。
熱のせいじゃない。
間違いなく、結衣先輩のせいだ。
心臓が破裂しそうなくらい跳ね上がり、顔が爆発するほど熱くなるのが分かった。
(・・・そんなの、反則すぎるだろ・・・・・。)
『治ったら、いっぱいしてあげるから。』
その言葉を俺が聞き逃すわけがない。
俺は真っ赤になった顔を隠すように結衣先輩の首筋に抱きつきながら、心の中で固く誓っていた。
────早く熱を下げて、このお返しを100倍にして絶対に回収する、と。