過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
「もう・・・・本当に強引なんだから。」

「結衣さんが可愛すぎるのが悪いんです。・・・ほら、オフィスビルが見えてきましたよ。」


​ビルの敷地に入る数十メートル手前で、廉は名残惜しそうにポケットの中で結衣の手を一度強く握り、それからゆっくりと指を解いた。​


「じゃあ、社内で。────藤崎先輩。」


​一瞬で爽やかで優秀な新人の顔に戻り、軽く一礼して先にエントランスへと歩いていく廉。

一人残された結衣は、手のひらに残る彼の熱をぎゅっと握りしめながら、跳ね上がる心臓を落ち着かせるのに必死だった。


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