過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
定時を過ぎ、フロアから一人、また一人と社員が減っていく。
残業をしていた結衣が
「そろそろ帰ろうかな。」
とパソコンの電源を落とした頃には、オフィスの灯りは結衣のデスク周辺と、奥の給湯室付近を残して落ちていた。
「ふぅ・・・・お疲れ様、私。」
伸びをして立ち上がり、喉の乾きを癒すために給湯室へ向かう。
ガチャッとドアを開けて足を踏み入れた瞬間、背後からスッと忍び寄ってきた影に、腰を強力に抱きしめられた。
「きゅ・・・・・っ!?」
「お疲れ様です、結衣さん。」
耳元で響く、低く甘い声。
廉は結衣を逃がさないように抱きかかえると、足で給湯室のドアをカチャンと閉め、内側から鍵をかけた。