過去の傷も全部、君の熱で上書きして。

食事を終え、グラスを片付けた廉がソファに戻ってきた時には、結衣はすっかり無防備な状態になっていた。​​

結衣が遠慮がちにソファの端にちょこんと腰を下ろすと、飲み物を持って戻ってきた廉が、迷いなく結衣の真横────

肩と肩がすれるほどの距離に腰掛けた。​


「・・・廉くん、ちょっと近くない・・・・・?」

「二人きりなのに、離れる理由がありますか?」


​くすりと微笑むと、廉は結衣の手からグラスをそっと受け取ってテーブルに置き、そのまま結衣の体を丸ごと抱き寄せるように腕の中に閉じ込めた。​


「んっ・・・・。」

「今日、一日中ずっとこうしたかったんです。職場で他の男の人と話してる結衣さんを見るたび、奪い去りたくて仕方がなかった。」

「もう・・・・ただのお仕事の話だったでしょ?」

「分かってます。分かってますけど・・・・他の男の人と話してる結衣さんは見たくないんです。」


< 90 / 146 >

この作品をシェア

pagetop