月華嬢と黒月
第2話 「意外と優しい」
――翌朝。
聖月学園。
朝の校門には、今日もたくさんの生徒が集まっていた。
「麗愛、おはよー!」
後ろから聞き慣れた声がして、振り返る。
「凛空、おはよ〜!」
蝶乃りあ。
麗愛、大切な友達。
今日も綺麗に髪を巻いていて、朝からすごく可愛い。
「昨日さ、彼氏から連絡きた?」
「んー……きたけど、たぶん今日の約束もなくなると思う(笑)」
「え、また?」
「うん。前も急に予定あるとか言われてキャンセルされたし」
凛空は慣れたように笑う。
でも、その笑顔を見ていると、れあは少し心配になる。
「凛空はその人のどこが好きなん?」
「……分かんない(笑)」
「え?」
「嫌なところいっぱいあるし、もうやめたほうがいいって自分でも思うんだけどさ」
凛空は少しだけ視線を落とした。
「離れようとすると、なんか無理なんだよね」
「……無理してない?」
「してるかも(笑)」
「もう……」
麗愛は小さくため息をつく。
恋って、漫画の中ではもっと簡単なのに。
好きな人と目が合って。
少しずつ距離が近くなって。
最後にはちゃんと想いが通じる。
麗愛はは、そんな恋がいい。
「恋って、そんな簡単にやめられないんだよね」
「……そっかぁ」
麗愛には、まだよく分からない。
でも――
凛空がいつか、本当に幸せになれる恋をしてくれたらいいな。
そう思った。
━━━━━━━━━━━
そして――
一時間目。
「じゃあ、この問題。月城」
「はい!」
先生に指名され、れあは黒板の前へ。
問題を解き終えると、
「正解」
「よかったぁ〜!」
席へ戻る。
「さすが月城」
「いつもちゃんとしてるよな」
「さすがお嬢様だよね」
周りからそんな声が聞こえてきて、れあは少し照れながら笑った。
「えへへ……」
そんなれあの学校生活は、今日もいつも通りだった。
――ただ。
この学校には、誰もが知っている有名な男子がいる。
黒崎蓮翔。
代々続く名家・黒崎家の御曹司でもあり、
家は超豪邸。
成績も悪くない。
運動もできる。
顔もいい。
そして、とにかくモテる。
廊下を歩けば女子が振り返る。
告白されることだって珍しくない。
だけど本人は、それを特別気にしている様子もない。
いつもクール。
女子に囲まれていても、騒ぐことなく淡々としている。
「黒崎くんって、ほんまモテるよなぁ……」
そんな声が教室のあちこちから聞こえてくる。
麗愛はちらっと黒崎くんを見る。
……確かに。
かっこいい。
でも――
「……なんか、ちょっと怖そう」
そんなことを思った。
すると。
「月城」
突然、声をかけられた。
「ん?」
振り返ると、そこに黒崎くんが立っていた。
「これ、先生から」
そう言って、一枚のプリントを差し出す。
「わぁ、ありがとう!」
「ん」
黒崎くんはそれだけ言って、自分の席へ戻っていった。
麗愛は手元のプリントを見る。
それから、黒崎くんの背中を見る。
もっと冷たい人なんかと思ってた。
いつもクールやし。
女の子にもあんまり愛想ないし。
でも――
「……黒崎くんって、優しいんやな」
小さく呟いた。
もちろん。
それ以上の意味なんて、まだない。
ただのクラスメイト。
それだけだった。
━━━━━━━━━━━━━━
昼休み。
「麗愛〜 お昼食べよ!」
「うん!」
凛空と一緒にお弁当を広げる。
「そういえば昨日買った漫画さ!」
「えっ、あの続き!?」
「そう!もうね、めっちゃキュンキュンした!」
「いいなぁ〜!れあも読みたい!」
「麗愛、ほんと好きだよね(笑)」
「だって、恋って素敵やもん!」
「はいはい(笑)」
二人で笑う。
まだ、麗愛は恋をしたことがない。
だからこそ――
いつか、自分にも。
漫画みたいな恋ができたらいいな。
そんなことを、ぼんやり考えていた。
━━━━━━━━━━━━━━
放課後。
「じゃあ、また明日ね!」
「また明日〜!」
凛空と別れる。
麗愛は一人になると、周囲を確認する。
そして――
いつもの場所へ向かった。
━━━━━━━━━━━━━━
制服を脱ぐ。
黒髪をまとめる。
金色のウィッグ。
淡い水色のカラコン。
つけまつげ。
そして――
白とシルバーとピンクの特攻服。
鏡の前に立つ。
そこに映っているのは、
昼間の優等生ではない。
月華嬢の総長。
月城麗愛。
「よしっ」
今日も行こっか。
仲間のところへ。
聖月学園。
朝の校門には、今日もたくさんの生徒が集まっていた。
「麗愛、おはよー!」
後ろから聞き慣れた声がして、振り返る。
「凛空、おはよ〜!」
蝶乃りあ。
麗愛、大切な友達。
今日も綺麗に髪を巻いていて、朝からすごく可愛い。
「昨日さ、彼氏から連絡きた?」
「んー……きたけど、たぶん今日の約束もなくなると思う(笑)」
「え、また?」
「うん。前も急に予定あるとか言われてキャンセルされたし」
凛空は慣れたように笑う。
でも、その笑顔を見ていると、れあは少し心配になる。
「凛空はその人のどこが好きなん?」
「……分かんない(笑)」
「え?」
「嫌なところいっぱいあるし、もうやめたほうがいいって自分でも思うんだけどさ」
凛空は少しだけ視線を落とした。
「離れようとすると、なんか無理なんだよね」
「……無理してない?」
「してるかも(笑)」
「もう……」
麗愛は小さくため息をつく。
恋って、漫画の中ではもっと簡単なのに。
好きな人と目が合って。
少しずつ距離が近くなって。
最後にはちゃんと想いが通じる。
麗愛はは、そんな恋がいい。
「恋って、そんな簡単にやめられないんだよね」
「……そっかぁ」
麗愛には、まだよく分からない。
でも――
凛空がいつか、本当に幸せになれる恋をしてくれたらいいな。
そう思った。
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そして――
一時間目。
「じゃあ、この問題。月城」
「はい!」
先生に指名され、れあは黒板の前へ。
問題を解き終えると、
「正解」
「よかったぁ〜!」
席へ戻る。
「さすが月城」
「いつもちゃんとしてるよな」
「さすがお嬢様だよね」
周りからそんな声が聞こえてきて、れあは少し照れながら笑った。
「えへへ……」
そんなれあの学校生活は、今日もいつも通りだった。
――ただ。
この学校には、誰もが知っている有名な男子がいる。
黒崎蓮翔。
代々続く名家・黒崎家の御曹司でもあり、
家は超豪邸。
成績も悪くない。
運動もできる。
顔もいい。
そして、とにかくモテる。
廊下を歩けば女子が振り返る。
告白されることだって珍しくない。
だけど本人は、それを特別気にしている様子もない。
いつもクール。
女子に囲まれていても、騒ぐことなく淡々としている。
「黒崎くんって、ほんまモテるよなぁ……」
そんな声が教室のあちこちから聞こえてくる。
麗愛はちらっと黒崎くんを見る。
……確かに。
かっこいい。
でも――
「……なんか、ちょっと怖そう」
そんなことを思った。
すると。
「月城」
突然、声をかけられた。
「ん?」
振り返ると、そこに黒崎くんが立っていた。
「これ、先生から」
そう言って、一枚のプリントを差し出す。
「わぁ、ありがとう!」
「ん」
黒崎くんはそれだけ言って、自分の席へ戻っていった。
麗愛は手元のプリントを見る。
それから、黒崎くんの背中を見る。
もっと冷たい人なんかと思ってた。
いつもクールやし。
女の子にもあんまり愛想ないし。
でも――
「……黒崎くんって、優しいんやな」
小さく呟いた。
もちろん。
それ以上の意味なんて、まだない。
ただのクラスメイト。
それだけだった。
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昼休み。
「麗愛〜 お昼食べよ!」
「うん!」
凛空と一緒にお弁当を広げる。
「そういえば昨日買った漫画さ!」
「えっ、あの続き!?」
「そう!もうね、めっちゃキュンキュンした!」
「いいなぁ〜!れあも読みたい!」
「麗愛、ほんと好きだよね(笑)」
「だって、恋って素敵やもん!」
「はいはい(笑)」
二人で笑う。
まだ、麗愛は恋をしたことがない。
だからこそ――
いつか、自分にも。
漫画みたいな恋ができたらいいな。
そんなことを、ぼんやり考えていた。
━━━━━━━━━━━━━━
放課後。
「じゃあ、また明日ね!」
「また明日〜!」
凛空と別れる。
麗愛は一人になると、周囲を確認する。
そして――
いつもの場所へ向かった。
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制服を脱ぐ。
黒髪をまとめる。
金色のウィッグ。
淡い水色のカラコン。
つけまつげ。
そして――
白とシルバーとピンクの特攻服。
鏡の前に立つ。
そこに映っているのは、
昼間の優等生ではない。
月華嬢の総長。
月城麗愛。
「よしっ」
今日も行こっか。
仲間のところへ。