君の隠し事
放課後。

私は練習が終わると、急いでグラウンドの裏にある倉庫へと向かった。

そこは、去年よく彼と話していた場所だった。

人目に付きにくくて、夕方になると西日が差し込む。

しばらく待っていると、遠くから彼が歩いてきていた。

でも、ユニフォーム姿ではなかった。

制服のまま、片手にスポーツバッグを持っている。

「……部活行ってないの?」

『 今日は、休んだ』

「今日も、でしょ」

彼は、苦笑した。

『 そうだな』

私の前まで来ると、彼はしばらく黙っていた。

何かを言おうとしているのに、言葉が出てこない。

私は待った。

急かしたくなかった。

でも、これ以上何も知らないままなのもいやだった。

「病院に行ってるの?」

私がそう言うと、彼の顔から血の気が引いた。

『 ……見たの?』

「何を?」

『 封筒』

「やっぱり病院なんだ」

彼は目を閉じた。

そして、深く息を吐く。

『 怪我にした』

「どこを?」

『 膝』

その言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられた。

「……いつ?」

『 少し前、練習中に』

「じゃあ、なんで言ってくれなかったの?」

『 言えるわけないだろ』

彼の声が初めて強くなった。

『 俺、今度の大会でスタメンになる予定だったんだ。ずっと目指してた。なのに、怪我して、練習もできなくなって……』

彼は拳を握りしめた。

『みんなには、ただの軽い怪我だって言ってる。でも、本当は違う』

「違うって?」

『 まだ、分からない』

彼は苦しそうに笑った。

『 手術が必要になるかもしれない。そうなったら、しばらくサッカーはできない。もしかしたら……前みたいには戻れないかもしれない。』

言葉が出なかった。

彼がどれだけサッカーを大切にしているか、私は知っている。

誰よりも早くグラウンドに来て、誰よりも遅くまで練習していた。





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