君の隠し事
去年、彼が初めて試合でゴールを決めた日。

嬉しそうに笑っていた顔を、今でも覚えている。

「だから、私に言えなかったの?」

『 ……うん』

「どうして?」

彼はしばらく黙ってから、私を見た。

『 お前にだけは、知られたくなかった』

「私にだけ?」

『 弱いところ、見られたくなかった』

その言葉が胸に刺さった。

「私がそんなふうに思うと思ったの?」

『 違う』

彼はすぐに首を振った。

『 お前に心配されたら、俺、本当に何も出来なくなりそうだった』

「それって……」

『 お前が、俺にとって特別だから』

風が吹いた。

グラウンドから、ボールを蹴る音が聞こえる。

いつもなら聞き慣れている音なのに、今日は遠く感じた。

「……特別って、どういう意味?」

聞いてしまった。

彼は目をそらさなかった。

『 好きだってこと』

心臓が、大きく跳ねた。

『 去年からずっと。クラスが離れてからも、LINEしてたのも、会いたかったから』

彼は苦しそうに笑った。

『 でも今の俺は、サッカーも出来ないかもしれない。そんな俺を見たら、お前はきっと……』

「何それ?」

私は彼の言葉を遮った。

「勝手に決めないでよ」

『 ……え?』

「サッカーができるから好きなんじゃない」

声が震えた。

「去年、教室でくだらない話をしてくれたことも、試合の後に嬉しそうに笑ってたことも、全部好きだった。サッカーをしてる時だけじゃない」

彼の目が大きく見開かれる。

「だから、怪我したからって、私から離れると思わないで」

『 ……でも』

「怖いなら強いって言ってよ。無理なら無理って言って。隠される方が、ずっと嫌だった。」

彼は呟いた。

肩が小さく震えている。

泣いているのかもいれないと思った。

でも、私は何も言わずに隣に立った。

しばらくして、彼が小さな声で言った。









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